うふあがりの旅
J・TAPで行く沖縄最東端の島・北大東島

2日目。北大東島の朝は早い。「うふあがり」なのだからそれもそのはず。朝から自然を体感しながら仕度を済ませ、いざ出発。2日目の初めに訪れたのは天然記念物のダイトウオオコウモリが飛び回っているという『大東宮』。

大東島のお神輿

大東島のお神輿

9月ごろに行われる豊年祈願の大東宮祭では、神輿が島中を練り歩き、境内では沖縄角力と江戸相撲の奉納演舞が行われたりするのだそう。まさに八丈島と沖縄のちゃんぷるー文化がイベントや伝統行事を通して受け継がれている。見せてもらった神輿さん、御歳30歳。

神社の裏側はちょっとした散歩コースになっていて、自然とのふれあいを楽しめる。そこで昔ながらのうちわ作りにも挑戦してみた。葉を切って干すだけの簡単なものだが、状態のいい葉選びや大きさ、形をイメージするのがなかなか難しい。植物で作るうちわはここでは珍しくないのだろうが、自然を体験できるのも北大東島の自然の豊さの現れだろうと感じた。

うちわ作りに挑戦!

うちわ作りに挑戦!

お昼は、今回お世話になっている宿『ハマユウ荘』のレストランで本場の名物「大東寿司」を味わう。この度の楽しみの一つでもあった大東寿司は、砂糖やみりんを加えた甘いしょうゆで味付けたマグロやサワラのにぎり寿司。八丈島の八丈寿司がルーツとのことだが、本場で味わうのはまた格別。惜しみなく分厚く切られたネタとシャリのボリューム感に心を奪われ次から次へと箸がすすむ。特産のじゃがいも麺とのセットが格別だった。

大東寿司と大東そば

大東寿司と大東そば

末吉家住宅主屋

末吉家住宅主屋

そういえば、旅の途中で島北西部の幹線道路に面して建つある一軒家を紹介された。
平入の石造平屋建。角部をコンクリートで固め,壁面を石灰岩の布積とし,内部造作にはビロウを用いる。そう、普通に民家と思っていたこの建物、実は島で最初期の住宅地開発の遺構として、国の有形文化財に指定されているお宝なのである。普通に住んでいるのが島らしいと思った。

午後はかぼちゃの収穫体験。あいにくの悪天候で出荷作業体験に変更されたが、何故に北大東島で農業体験!?という謎は、その後徐々に明らかになる。
ここ北大東島で取れたかぼちゃは、一般市場には出回らず、東京と大阪限定の出荷で高級料亭あたりに売られていくのだそうだ。つまり、それだけ品質がいいということになる。わざわざ北大東島まで買い付けくることもあるらしい。Kg辺り600円~とかなりの高級品だが、1玉(3kg)を手に抱え、これで1,800円くらいするのか・・と改めて驚いたのは言うまでもない。

かぼちゃ畑とかぼちゃ料理

かぼちゃ畑とかぼちゃ料理

ここで、単にかぼちゃの知識を得た、というだけでは勿体無い。この体験の醍醐味はなんといっても、農家が語るかぼちゃ物語だろう。かぼちゃに注がれる愛情と情熱。こんなにも手間暇がかけられて育っているのか、という工程作業。また収穫の時期ともなれば、地域連携や一家総出の出荷作業が始まり、作業をしながら家族のコミュニケーションを図る。実によく出来た物語である。かぼちゃに対する見方と思いが変わる。この「気付き」がこの体験プログラムの素晴らしさであり、他では味わえない貴重なものなのである。